歯の見えている部分を歯冠(しかん)といい、
歯ぐきの中にかくれている部分を歯根(しこん)といいます。
この歯根の部分は、神経と血管(歯髄)などが通るため、中空構造になっています。歯根は上からの力には強いのですが、横からの力には弱く、無理な力がかかると竹がパカッと割れるように、真っ二つに割れてしまったり、木の幹にひびが入るようにひび割れたりします。このことを歯根破折(しこんはせつ)と呼びます。
虫歯が進み、根の治療(歯の神経を除去する治療=抜髄)を行うと、神経除去後の空洞に、薬を詰め、「コア」を差し込んで接着します。「コア」とは、冠(クラウン)と呼ばれる被せ物を装着するための土台となる、金属などでできている歯の内部に接着する部品です。
神経を除去した歯(無髄歯)は非常に弱くなります。
この「コア」に被せ物を取り付けて完成するわけですが、神経を除去した歯(無髄歯)は非常に弱くなるため、金属のコアが固いことも相まって、どうしても健康な歯(有髄歯)と比べて、歯根部が割れやすくなります。
例えるなら、生きているみずみずしい木と、枯れている木を想像してみてください。どちらが割れやすいでしょうか。
また、コアは楔状の形をしていることから、歯にくさびを打ち込むことによるひび割れを引き起こすことがあります。斜め横方向からの強い力が加わると、コアに無理な力が掛かり力学的にも歯根部を割りやすくしていると言えます。
その他、無髄歯(失活歯)になってから、長い年月を経た劣化そのものも歯根破折の要因となってきます。
-
■ 歯根破折(横から)
-
■ 歯根破折(上から)